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お知らせ2024年02月28日

臨床研究におけるデータ公開(オプトアウト)/認知症を対象とした新血液中バイオマーカーの関連分析及び 臨床評価に関する研究

研究課題名
「認知症を対象とした新血液中バイオマーカーの関連分析及び臨床評価に関する研究」
 
ヒトゲノム・遺伝子解析研究について
九州大学病院では、病気に関係する遺伝子や薬の効き目に関係する遺伝子を見つけ出したり、遺伝子技術を取り入れた病気の検診のための技術開発を行ったりしています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」といいます。その一つとして、九州大学病院脳神経内科では、現在認知症の患者さんを対象として、新血液中バイオマーカーと臨床評価に関する「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、(西暦)2025年3月31日までです。
 
研究の目的や意義について
アルツハイマー病をはじめとする認知症に対する薬剤は5種類程度ありますが、長期に病態の進行を抑制したり、重度に進行した記憶力などの認知機能を回復させたりすることは困難です。従って、アルツハイマー病などの認知症では、早期発見と早期の治療開始が極めて重要とされています。しかしながら、軽度認知機能障害や初期〜中等度の認知症は、加齢による健忘との区別の難しさに加え、本人の自覚症状が希薄であることや、患者本人の誤認等が原因で受診および診断が遅れる傾向にあり、治療の開始が遅れることが大きな課題となっています。したがって、認知機能の低下もしくは認知症の進行性と関係し、より早く認知症を発見・診断できる指標(バイオマーカー)を見出すことは極めて重要です。 本研究では、認知症(特にアルツハイマー病)の早期診断につながる可能性のある血液中バイオマーカー候補の因子について、①被験者の認知機能との相関性、②リスク遺伝子(APOE4など)との関連、③被験者の既往歴、生活習慣等との関連について、明らかにすることを目的として本研究を計画しました。本研究により認知症の早期診断バイオマーカーの有用性が確認でき、早期診断につながることが期待されます。
 
研究の対象者について
福岡市認知症疾患医療センター(九州大学病院)、福岡県認知症疾患医療センター(国立病院機構大牟田病院)、医療法人社団高邦会福岡中央病院脳神経センター並びに医療法人社団高邦会高木病院において令和元年5月1日から令和4年3月31日までにミニメンタルステート検査(MMSE)やβアミロイドPET/CTを受けられ軽度~中等度の認知症(アルツハイマー病など)と診断された方、または本研究への参加を同意された時点で認知症ではないが軽度認知障害(MCI)と判断された方を患者群としています。 一方で、検査を受けられた方のご家族(配偶者など)、もの忘れ外来や健診センターなどを受診された方や高齢者施設等で生活されている方などのうち、認知機能が健常であると判定された方を比較対照のための対照群とし、いずれも65歳以上の方に本研究へのご協力をお願いしております。 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 
研究の方法について
この研究への参加に同意いただきましたら、認知機能検査(MMSE検査)を受けていただきます。患者群ではカルテより、対照群では問診により、以下に記載の情報を取得します。加えて、この研究では、認知症と関連すると報告されている血液中成分の血液中濃度検査(例えばSLC蛋白、アミロイドβ、タウ関連蛋白、GFAP、エクソソーム成分など)、アルツハイマー病のリスク遺伝子として知られているAPOE遺伝子検査、血液生化学検査を行うため、九州大学内または協力施設内にて採血(10 mL)させていただきます。さらに、認知症発症・進展への影響を検討するため日常生活における運動、睡眠などの生活様式に関するアンケートに回答いただきます。なお、APOE遺伝子検査を除く全ての検査は定期的(年1回程度、計3回)に受けていただきます。 なお、同意いただいた後、最初に実施するMMSE検査によって認知機能障害の疑いがあると判定された方は、本研究においては患者群として取り扱われます。このような割り振りは、あくまで本研究としての割り振りであり、患者として通常診療を受診するか否かについてはご自身の意思で決めていただくことが可能です。ただし、本研究に患者群として参加する場合は、本研究に参加している医療機関を通常診療として受診していただき、認知機能障害の診断をするための追加検査を通常診療の枠内で受けていただくことになります。 各検査によって取得したデータおよび各施設で取得した情報は、クラウド上で安全に保管されます。
また、上記項目の測定や解析のために試料または情報の利用又は提供を開始する予定日は2024年1月1日です。

取得する情報
身長、体重
認知機能スコア(MMSE)結果、血液検査結果(生化学検査項目、APOE遺伝子型、認知症関連因子などの測定結果)、生活習慣等の環境要因を把握するアンケート回答 また、カルテより以下の情報を取得します。

診療記録又は問診により取得する情報
年齢、性別、医師による症状または健康に関する所見(既往歴など)、診断名
次の情報は確定診断の際に当該検査を受けた患者さんに限る
Aβ PET、CT、MRIなどの画像診断検査結果

一部の試料(血液)は、APOE遺伝子検査および血液生化学検査のため業務委託先(APOE遺伝子検査:株式会社プリメディカ、血液生化学検査:aiwell株式会社)に輸送され、検査が行われ、結果は九州大学に返却されます。また、残った血液については、認知症に関連する血液因子の追加測定および保管用として九州大学に輸送され、測定実施まで、また測定終了後も安全に保管されます。 他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。

この研究は、九州大学、国際医療福祉大学、福岡中央病院、高木病院、大牟田病院及び住友ファーマ株式会社の共同研究となります。
各病院にて、本研究への同意の上、採取された血液は匿名化されたデータ・情報と共に研究責任者の下で安全に保管されます。これら匿名化されたデータ・情報は国際医療福祉大学及び住友ファーマ株式会社の研究員もアクセスして各種関係性解析を実施します。
 
研究への参加とその撤回について
この研究への参加はあなたの自由な意思で決めてください。同意されなくても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。 また、いったん同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、いつでも同意を取り消すことができます。同意を撤回されたい方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、下記の相談窓口までご連絡ください。 その場合は、収取された情報や試料などは廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的で用いられることはありません。ただし、同意を取り消した時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄できないことがあります。
 
個人情報の取扱いについて
研究対象者の血液由来サンプル、測定結果、カルテやアンケートなどの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、各病院内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院神経内科分野学分野・教授・磯部 紀子の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究対象者の血液や測定結果、カルテなどの情報を各研究施設へ郵送する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。
 
試料や情報の保管等について
試料について
この研究において得られた研究対象者の血液や病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院神経内科学分野において同分野教授・磯部 紀子の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

情報について
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院神経内科学分野において同分野教授・磯部 紀子の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
この研究の費用について
この研究に関する必要な費用は、住友ファーマ株式会社からの共同研究経費でまかなわれます。
 
利益相反について
九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究では利益相反状態が存在しますが、観察研究実施計画は上記要項に基づき調査され、利益相反状態が存在することによって研究対象者に不利益が及ぶおそれはないと判断されました。

利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会 (窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
研究に関する情報の公開について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。
 
特許権等について
この研究の結果として、特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は九州大学、共同研究機関である国際医療福祉大学及び住友ファーマ株式会社に属し、あなたには属しません。また、その特許権等を元にして経済的利益が生じる可能性がありますが、これについてもあなたに権利はありません。
 
研究を中止する場合について
研究責任者の判断により、研究を中止しなければならない何らかの事情が発生した場合には、この研究を中止する場合があります。なお、研究中止後もこの研究に関するお問い合わせ等には誠意をもって対応します。
 
研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
 
研究実施場所 九州大学病院神経内科
九州大学大学院医学研究院神経内科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院神経内科学分野 教授 磯部 紀子
研究分担者 九州大学大学院医学系学府神経内科学 大学院生 前田 泰宏
九州大学大学院医学系学府神経内科学 大学院生 八木田 薫
九州大学大学院医学系学府神経内科学 大学院生 原田 雅也
九州大学大学院医学系学府神経内科学 大学院生 田代 匠
九州大学大学院医学系学府神経内科学 大学院生 飯田 紘太郎
九州大学病院脳神経内科 学術研究員 井浦 とも 
共同研究機関等 機関名
/ 研究責任者の職・氏名・(機関の長名)
役割
①学校法人国際医療福祉大学
/大学院医学研究科 教授 吉良 潤一 (矢冨 裕)
関連解析
②国立病院機構大牟田病院脳神経内科
/脳神経内科医長 栄 信孝(川崎 雅之)
試料・情報の提供
③医療法人社団高邦会 高木病院脳神経内科
/今村 友裕(筒井 裕之)
試料・情報の提供
④医療法人社団高邦会 福岡中央病院脳神経センター
/認知症診療部長 山下 謙一郎 (吉良 潤一)
試料・情報の提供
⑤住友ファーマ株式会社リサーチディビジョン
/基盤技術研究ユニット長 橋本 雅一 (志水 勇夫)
関連解析
業務委託先 企業名等:aiwell株式会社
所在地:東京都千代田区二番町9番3号 THE BASE 麹町
企業名等:株式会社プリメディカ
所在地:東京都東京都港区芝公園2-3-3
 
相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
 
福岡中央病院 脳神経センター
〒810-0022
福岡県福岡市中央区薬院2丁目6番11号
担当者:認知症診療部長 山下 謙一郎
TEL:092-741-0300
FAX:092-781-2563
メールアドレス:kyamashita@kouhoukai.or.jp
留意事項
本研究は九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会において審査・承認後、以下の研究機関の長の許可のもと、実施するものです。
九州大学病院長 中村 雅史