2026年9月末に長野県松本市で開催された第37回日本末梢神経学会学術集会(会長:関島良樹 信州大学医学部 脳神経内科,リウマチ・膠原病内科 教授)において、福岡中央病院からの演題が、症例報告賞を受賞しました。
末梢神経学会は、脳神経内科、整形外科、リハビリテーション科、末梢神経系の基礎医学の各領域の専門家が参加する学際的な学会です。学術集会では、研究発表に加えて、各病院で経験した症例報告も発表されます。内科部門および外科部門から各1題が症例報告賞に選ばれます。今回は、吉良潤一脳神経センター長が筆頭演者として発表した症例報告が受賞しました。
演題名は、「抗FcRn抗体薬が振戦・失調に著効するも下肢遠位筋脱力に無効だった仙骨孔部での肥厚神経根の絞扼を伴うLGI4 neuropathy」というものです。実は、2年前に新しい末梢神経の自己抗体である抗LGI4抗体を発見し、第35回日本末梢神経学会学術集会で報告して、学会賞(筆頭演者:張旭国際医療福祉大学特任助教)を受賞しています。今回は、その発展で、症例報告をしました。抗LGI4抗体が陽性の末梢神経障害の患者さんに新しい免疫治療薬がよく効いたのですが、両下肢遠位部の脱力だけはどうしても改善しませんでした。その理由として、治療導入時点で末梢神経の肥厚が既に顕著になっており、肥厚した神経根が脊柱管から出るところで、椎間孔部で強く絞扼されて、圧迫性の末梢神経障害を二次的に併発したために、その障害が免疫療法では改善しないことがわかったのです。つまり末梢神経の肥厚が起こる前に早目に治療を始めることや、圧迫されている神経根の圧迫を解除することが必要なことが示されました。このような新たな知見が評価されて受賞につながりました。
当院脳神経センター脳神経内科では、末梢神経障害の診断と治療に積極的に取り組んでいます。特に末梢神経を侵す難病である慢性炎症性脱髄性多発神経炎の新しい免疫療法の導入を積極的に行っています。軽いシビレと思っても放置しないで、脳神経内科を早めに受診されることが大切です。
